堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「とってもおいしいです。家でこんな本格フレンチがいただけるなんて、贅沢ですね」
「おほめにあずかり恐縮です。京極様にはいつも私どものレストランをご贔屓いただいておりますので、ご要望があれば、特別に出張料理を振舞わせていただいております」

 なんとデリバリーされてきたのは食事ではなく、有名なフレンチレストランのシェフだった。シェフはこの家のキッチンを使って、妊婦の私の健康を気遣った特別なコースを提供してくれた。

 料理はどれも、つわり中の私でも無理なく完食することができる程度の量で、見た目の美しさも素晴らしい。

 コースの最後には、コーヒーの代わりに、つわり症状を和らげる効果があるのだというハーブティーまで淹れてもらい、大満足のディナータイムを過ごした。

 後片付けまできちんと済ませてシェフが帰ったあと、ダイニングでゆっくりハーブティーのお代わりを飲みつつ、私は改めて志門さんにお礼を言った。

「志門さん、ありがとうございました。本当に素敵なサプライズでした。この家も、お食事も、なにもかもびっくりすることばかりで」

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