堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「どういたしまして。気に入ってくれたようで安心したよ」
「そろそろ、私からのサプライズもいいですか?」
「もちろん。なんだろうってずっと考えていたけど、まだわからないんだ」
そう言って苦笑する志門さんに私はにっこり微笑むと、リビングに移動して、ソファに置いていたバッグの中から、一冊の小さな手帳を取り出しダイニングに戻る。
そして、向かい合って座る志門さんに、まるで賞状を渡すようにして、両手でその手帳を差し出した。
優しい水色の表紙に書かれた文字は【子育て応援! パパ手帳】。パパが子どもを肩車する、かわいらしいタッチのイラストも添えてある。
そう、これは母子手帳の父親バージョンなのだ。
「なるほど、パパ手帳……。母子手帳のほかに、今はこんなものがあるのか」
受け取った志門さんは、さっそく興味深そうにページを開く。
「この間バイトが休みの日に、住谷先生のところで妊婦健診を受けて、その帰りに母子手帳をもらいに役所に行ってきたんです。そうしたら、今は母子手帳だけでなく、父子手帳もあるんですよって勧められたので、もらってきちゃいました」
私が説明する間も色々なページをじっくり見つめる志門さん。
小さくかわいらしいデザインの手帳と、それをまるで仕事の書類でも眺めているかのような真剣な眼差して睨む志門さんの対比が、なんだかちぐはぐで微笑ましい。