堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 シートベルトを外して車のドアに手を掛けた瞬間、志門さんに優しく腕を引かれて、振り向きざまにキスをされた。

 ふわりと彼の香りに包まれ、甘い気持ちになって目を閉じると、彼は何度か軽く唇を啄み、まだ物足りなそうに熱い吐息をこぼしつつも、そっと顔を離して囁いた。

「本当は、帰したくない」
「志門さん……」

 彼らしくない、余裕のない声音にギュッと胸が締めつけられた。切なげな彼の瞳をジッと見つめ返すと、志門さんはぎゅっと私を抱き寄せ、自嘲気味に呟く。

「……ごめん。さっそくカッコ悪いところを見せてしまったな」
「そんなことないです。うれしいです、志門さんがワガママ言ってくれるの」
「瑠璃……ありがとう。あと少しだけでいいから、このまま抱きしめさせて……」

 逞しい腕に閉じ込められ、私は胸が詰まりそうなほど幸せだった。

 愛しい志門さんと、この先もずっと一緒に生きていく。その道のりにどんな障害があろうとも、ふたりの愛情さえ揺るがないものであれば乗り越えられるのだと、私は単純に信じていた。

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