堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 十二月に入り、クリスマス商戦を迎えたElisaは毎日大混雑だった。いつもより早い時間に商品がなくなってしまうことが増え、週末を控えた金曜日の今日は、十六時を過ぎたところで売るものがなくなった。

 上尾さんはぐったりしつつも、Closedの札をドアの外に掛け店内に戻ってくると、ホッと息をつく。

「は~、忙しかった。瑠璃ちゃん、体調平気?」
「はい。この間安定期に入って、つわりも治まったので、むしろ前より絶好調です」

 赤ちゃんの方も、定期健診で毎回元気に育っていることを確認できている。胎動はまだ感じないけれど、住谷先生は『あと二週もすれば嫌というほど蹴られるわよ』と言っていた。

「大学は行けてるの?」
「はい。卒業に必要な単位を落とさない程度には」
「なら問題ないね。なんたって、イケメン旦那様のもとへ永久就職が決まってるし! 引っ越しってもう済んだんだっけ?」
「明日する予定です。なので、今日は帰ったら家族水入らずで最後の夕食なんです」

 他愛のない話をしながら、ふたりで店内を片づける。すると厨房にいた世良さんもやってきて、レジ締めの作業を始めた。

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