堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
しかし、紅茶を出し終えた世良さんが休憩室を去る直前に、しびれを切らしたように口を開いた。
「私が今日ここへ来たのは、志門をたぶらかしてまんまと妊娠した、卑怯で計算高い女性の姿を、この目で確認したかったからよ」
ナイフのように冷たく尖った彼女の声が、私の胸にまっすぐ飛んできて、ぐさりと刺ささった。そこから見えない血が滴るのを感じながら、けれどそんなふうに攻撃される理由がわからない。
「私、たぶらかしてなんて……」
「いつも志門の前でもそうやって純情ぶっているんでしょう? 彼に聞いたわ。彼はあなたの態度を素直にかわいいと思っているようだけれど、聞いているこちらとしては、忠告したくてたまらなかった。そんなにタイミングよく妊娠なんてするはずない。彼女は初心に見せかけて、あなたをハメたのよって」
友里恵さんが、軽蔑の眼差しを私に向ける。けれど、彼女の言ったことは全部誤解だ。私はなんとか声を振り絞って尋ねる。
「実際に、忠告したんですか? 彼に……」