堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「いいえ、まだよ。先にあなたに教えておいた方が、ダメージを与えられるでしょう? だからこうして会いに来たのよ。彼には近日中にすぐ伝えるわ。ふふ、これから毎日恐怖でビクビクしちゃうわね? 真実を知った彼に、お腹の子ともども捨てられると思うと」
不気味な笑みをこぼしながら語る友里恵さんに寒気がした。もしも彼女が今宣言した通りに行動したとしたら……志門さんは本当に私たちを捨ててしまう?
『瑠璃。きみはずっと、俺を愛しているふりをしていただけなんだね』
志門さんがそう言って落胆する表情が、勝手に脳裏に浮かぶ。
違うの、志門さん。私はいつだってあなたを本気で――。
胸の痛みに耐えきれず、ぎゅっと下唇を噛みしめていたその時。
「失礼ですが」
部屋から去るタイミングを失い、ドアの前で立ったままだった世良さんが、突然声を発した。怪訝そうに眉をひそめた友里恵さんに、世良さんが低い声で語り掛ける。