堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「お腹の子の本当の父親はあなただけど、こんなちっぽけな洋菓子店の店主では、収入はたかが知れてる。だから瑠璃さんは、旅先のウィーンで偶然に出会った人の好い御曹司、志門を利用することを思いついたのよ。一度関係を持ちさえすれば、彼の子どもだと偽れるものね。そして、恵まれた環境で子育てをしながら、本当に愛している人とは勤務先でコソコソ逢瀬を繰り返す。まるで安っぽい昼ドラね」
「くだらない妄想もいい加減に……」
こらえきれずに口をはさんだ世良さんに、友里恵さんはクスッと嘲笑を浮かべて尋ねる。
「この休憩室でもしたんでしょう? 何度も、セックス」
その瞬間、世良さんが拳を振り上げたのが視界に映り、私はとっさに立ち上がって、彼の手を両手で掴んで阻止した。
「ダメです、世良さん!」
「しかしこの女あまりにも……!」
世良さんは興奮を鎮めるように何度も肩で息をしながら、友里恵さんを睨む。
しかし当の友里恵さんは朗らかに笑いながらバッグを持って立ち上がり、私たちの前で立ち止まると言った。
「素晴らしいチームプレイね」