堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「ケーキ、忘れてる」
「あ、すみません」
世良さんの手からケーキの箱を受け取り、「では、お疲れさまでした」と早々に彼の前を去る。しかし、数秒後には世良さんが大股で追いかけてきて、なぜか私の隣に並んだ。
「あと……送ってく」
無表情で前方を向いたままそう言った彼の真意がわからず、武骨な横顔をぽかんと見上げる。
「えっ?」
「家まで送っていくと言ったんだ。その……今日のお前は、色々心配だから」
世良さんは言いにくそうに、もごもご呟いた。どうやら友里恵さんのことで気を遣わせてしまっているみたいだ。
「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。初対面の人に自分のことあんなふうに言われて、それなりに落ち込んではいますけど……さすがに道路に飛び出したりはしませんから」
私は冗談を言ったつもりなのだけれど、世良さんはなぜか眉間にしわを寄せ、ジロッと私を睨んだ。思わず肩をすくめると、次の瞬間世良さんの大きな体にすっぽり包み込まれてしまった。
え……? なんで世良さんに抱きしめられて……。