堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
なにか恩返しがしたいけれど……おそらく世良さんの望みは、私が志門さんとちゃんと幸せになることだ。『もう、俺が見てなくてもなにも心配いらないな』って、そう思ってもらえるくらいに。
「私……幸せになるね」
カチャ、とフォークを置いた私は、母と兄に向け、改めて宣言した。ふたりは一瞬面食らったように固まっていたけれど、しばらくして兄が先に口を開く。
「むしろ幸せすぎて胸やけしそうだろ。アイツ、すげー溺愛してんじゃん、瑠璃のこと」
兄はそう言って、ぶすっとしながらケーキを口に運ぶ。さっきの『いつでも帰ってきていい』発言より、むしろこっちが本音のようだ。
「そうね。彼ならきっと、瑠璃のこともお腹の子のことも、たっぷり愛してくれるわ」
母の言葉に照れながらも「うん」と頷いた私は、ひと足先にケーキを食べ終え、自分の部屋で荷造りの最終確認をするのだった。