堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
6*幸せな新生活に不穏な足音

 翌日土曜の午後、車で私を迎えに来た志門さんに、とくに変わった様子はなかった。いつものようにキラキラした王子様オーラを纏い、母と兄に丁重に挨拶をしてから、私を優しくエスコートして車に乗せる。

「寒くない?」
「大丈夫です。お腹を冷やさないようにいっぱい厚着してますので」
「ならよかった。空調の具合を変えたかったら言って?」
「はい」

 いつも通りに会話ができたことに、ひとり胸を撫で下ろす。この様子だと、友里恵さんからはまだなにも聞いていないのだろう。昨日の今日だから、当然と言えば当然だ。

 このまま、何事もなければいいのだけれど……そうもいかないよね。

 私の妊娠は計画的なもので、目的は志門さんの財産で。本当は世良さんと恋人同士。

 事実無根とはいえ、友人である友里恵さんにそんな話を聞かされたら、志門さんはどう思う……?

 昨日は彼を信じられたはずなのに、胸に不安の滴がぽつんと落ちて、黒い染みを作る。けれど私は見て見ぬふりをして、志門さんとの会話に集中し、精一杯笑顔を作った。

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