堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
彼のやわらかな薄茶色の瞳と見つめ合うと、胸に愛しさがこみ上げる。けれど、同時にさっき目を逸らした不安の黒い染みが大きくなってきた気がして、私は思わず彼にギュッと抱きついた。
志門さんの甘い香りを胸いっぱいに吸い込んで、心を落ち着かせる。
「瑠璃?」
私らしくない行動だと思ったのだろう、志門さんが不思議そうな声をあげる。でも、私の体を引きはがしたりすることはなく、大きな手でそっと背中をさすってくれた。
「志門さん、私のこと……」
「ん?」
「私のこと……絶対に、見失わないでくださいね」
いつでもどこにいても、彼は私を見つけてくれた。だからこそ、怖いのだ。こんなに近くにいるのに心が離れた時のことが。友里恵さんの話が、そのきっかけになってしまわないかってことが。
「大丈夫だよ。ほら、目印だってある」
穏やかな声に顔を上げると、志門さんはそっと体を離してズボンのポケットに手を入れた。そこから取り出したのは、高級感の漂うネイビーの小さな箱。
まさか、と思った瞬間彼が蓋を開き、煌めくダイヤの指輪が現れた。