堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
7*彼の中からいなくなった私

 出張中の志門さんは、いつもの甘い彼だった。毎晩電話をくれて私の体調を気遣い、切る前には必ず『おやすみ。愛してる』と囁いて、私を照れさせた。

 全部、演技ではなかったと思う。だって、志門さんは嘘が下手な人だもの。でも、だったらどうして出張に出かけた日の朝は嘘をついたの……?

 志門さんの真意がわからぬまま、彼の帰ってくる木曜日になった。

 その間二回バイトがあったのだけれど、相変わらずお客さんが来ないそうなので、二日間とも急遽お休みになった。連絡してきた世良さんは相変わらず『気にするな』と言っていたけれど、そうもいかない。

 いくら友里恵さんが私を恨んでいたとしても、職場のみんなまで巻き込むのはやっぱりおかしいよ。今日こそは、絶対に志門さんとちゃんと話しをしよう――。

 私はそう心に決めて、彼の帰ってくるのを家でじっと待っていたのだけれど……夕方になって、私のスマホに知らない番号から電話がかかってきた。

 出るか出まいか悩んだものの、自分のスマホの充電が切れた志門さんが誰かの電話を借りて連絡してきたこともあり得ると思い、警戒しながらも「もしもし?」と電話に出た。

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