堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
《もしもし、瑠璃さん? 私です。春名友里恵》
スマホから聞こえてきた声を聞いて、私の胸はどくんと嫌な音を立てた。
どうして友里恵さんが私の番号を知っているの?
「友里恵、さん……?」
《驚かせてごめんなさいね。あなたの番号、志門に聞いたの。話したいことがあるから、これから会えないかしら?》
「話したいこと?」
《ええ。大事なことだから、直接会って話したいの》
友里恵さんの淡々とした声音がなんとなく怖くて、スマホを持つ手に汗が滲む。
でも、これはチャンスなのかもしれない。あのSNSの呟きは、友里恵さんのものなのか。だとしたらどうしてそんなことをするのか、直接彼女に確かめられる。
「……わかりました。どこへ行けばいいですか?」
友里恵さんに指定されたのは、都心の中にありながらもひっそりと人気のない、ある神社の境内だった。
着いたのは十八時ごろで、すでに辺りは真っ暗。赤い鳥居をくぐって急な傾斜の長い石段を上がる。
境内に到着して周囲を見回したが、友里恵さんの姿はまだなかった。