堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
心細さから無意識に、左手薬指の指輪に触れる。ダイヤが大きくて普段使いするような指輪ではないのでいつもはしまってあるが、今日は自分を奮い立たせるためにつけてきたのだ。
友里恵さんに到着の連絡をしようとバッグからスマホを取り出すと、ちょうど電話がかかってきた。しかし、彼女からではない。……志門さんからだ。
「もしもし?」
《瑠璃? 今、どこにいる?》
電話越しの彼の声はなぜか焦っていた。もしかしたらもう家に帰ってきたのかな? それで、私がいなくて心配してる……?
「ごめんなさい、ちょっと用事があって外に出ていて」
《友里恵に呼び出されたんじゃないか?》
「えっ? ……なんで志門さん、そのこと」
《とにかく居場所を教えてくれ。俺もすぐに向かうから》
なにがなんだかわからない。でも、やけに切迫した志門さんの勢いに押され、私は素直に神社の名前を告げた。
志門さんは今タクシーに乗っていて、五分程度で着けそうだとのことだった。