堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

《友里恵はそこにまだ来ていないのか?》
「はい。誰もいなくて……ちょっと怖いです、夜の神社」
《このまま話していればいい。そうしたら怖くないだろ?》

 優しげな声に、ほわっと胸があたたかくなる。――と、その時。誰かに後ろからトントンと肩を叩かれた。私は思わず耳からスマホを離して振り返る。

「こんばんは、瑠璃さん」
「友里恵さん……」

 お化けのように突然現れた彼女に、ぞくりと背筋が凍えた。

 今、友里恵さんはどこから? 石段には注意を払っていたつもりだったのに、見逃していた……?

 大きく目を見開いて体を硬直させる私に、彼女はにこりと微笑んで尋ねてくる。

「電話の相手、志門?」
「……ええ。そうですけど」
「じゃ、スピーカー通話にしてくださる? 私たちの話を彼にも聞かせたいの」

 友里恵さんの美しい笑みには、有無を言わせない迫力があった。私はごくりと唾を飲み込んで、言われたとおりスピーカーのアイコンをタップした。

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