堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 今でも理解不能だというふうに、左右に大きく首を振る友里恵さん。志門さんに失恋したことより、プライドを傷つけられたことの方が、彼女にとっては大きなダメージだったようだ。

「しかも、その女は運よく妊娠して、本来縁がないはずの志門とトントン拍子に結婚話を進めている。嫌みのひとつでも言わなきゃ我慢ならないと思って職場に押し掛けたら、女はまた別の男にも守られていた。……本当になんなのあなた。私をイラつかせるために存在してるの?」

 至近距離から睨まれ、逃げ出してしまいたくなる。でも、これだけは聞いておきたい。

「Elisaを貶めるようなSNSの呟き……あれも、友里恵さんが?」
「あら、頭の悪いあなたでも気がついた? SNSって便利よね。真実だろうがそうじゃなかろうが、叩けそうなネタならどんどん拡散されていく」

 ひどい……。友里恵さんは、自分の書いたことが嘘であると認識しながら、わざとそのデマが広がるように仕向けたんだ。

 本当は思い切り言い返したいけれど、今の友里恵さんにはなにを言っても、おそらく火に油を注ぐだけ。

 とりあえず、彼女が落ち着くのを待とう……。そう思っていた私の考えは、甘かったらしい。

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