堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
クリスマスなど、毎年特に意識することなく終わっていた行事だが、今年はそうではなかったらしい。俺はいったい、彼女とどんなクリスマスを過ごすつもりだったんだろう。
……そういえば、今日じゃないか? クリスマスイブ。
俺は、穏やかな目でツリーを見つめる瑠璃の横顔に、思わず謝った。
「……ごめん。こんなクリスマスになってしまって」
「そんな、謝らないでください! こうして無事に家に帰ってこられて、ふたりで過ごせるだけで十分ですから」
優しくそう言われると、ますます申し訳ない。彼女のためにこんなに立派なツリーを飾っていた俺のことだ。クリスマスにも、なにか気の利いたデートを用意していたに違いないが……今の俺に同じことはできない。
「そうだ、ケーキを買ってこようか。大きなホールケーキ。少しはクリスマスらしい気分になる」
「志門さん……。でも、予約もなしに当日いきなり大きなケーキを売ってくれるお店なんて……」
瑠璃はそう言いかけて、ハッとしたように目を大きく見開いた。どうやら思い当たる店があったらしい。
「あります! 行きましょう!」