堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
小さな部屋に入ると、俺と瑠璃は隣り合って座り、その向かい側に世良が腰を下ろす。そして瑠璃が俺の現在の状態やそこに至る一連の経緯を説明すると、険しく眉根を寄せた世良が俺たちに問いかける。
「つまり、あの女が神谷たちを……? 警察には連絡してあるのか?」
「友里恵は……俺の入院中にすでに逮捕され、罪を認めていると聞いています」
友人だと思っていたのは俺の方だけで、彼女はずっと俺に恋愛感情を抱いていたそうだ。
だから、瑠璃という婚約者の存在が認められず、やり場のない憎しみをぶつけるようにして犯行に及んでしまったらしい。
事件当日の記憶を失っている俺には、にわかに信じがたい衝撃の事実だった。
あの頭のいい友里恵が、どうしてそこまで……。
「神谷のことは忘れているくせに、あのろくでもない女に関しては覚えているのか」
不意に、向かい側から尖った声が飛んでくる。目線を上げると、世良の鋭い視線が俺を突き刺していた。
「世良さん、志門さんと彼女は古くからの付き合いなので……」
「だとしても、どうして神谷のことだけ忘れるんだ。むしろ、なにを差し置いても、彼女のことだけは覚えていなければおかしいだろう……!」