堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「嫌だった?」
聞きながら顔を覗き込むと、瑠璃ははにかんで小さく首を振った。
「いえ。……うれしいです。あったかい」
その反応にホッとして、俺は彼女の指先が温まるまでしばらく車を出さずに彼女の手を握り、自分の体温を分け与えた。
スーパーに寄ってから帰宅すると、瑠璃はまず殴られた俺の口元を手当てしてくれた。リビングのソファに並んで座り、軽く消毒して大きな絆創膏を貼ってもらうと、その顔を見て瑠璃が苦笑する。
「せっかくのイケメンが台無しですね」
「頭には包帯、口元には絆創膏だもんな。でも、殴ってもらえてスッキリした部分もある。瑠璃を悲しませている自覚があるのにどうにもできない自分が不甲斐なかったから……渇を入れてもらった気分だよ。あの店の人たちはみんな優しいんだな」
「ですね。一番年下の私は、いつも助けてもらってばかりです」
瑠璃がそう言って笑い、使った消毒液や絆創膏の箱を棚に片付ける。それからキッチンに向かおうとする彼女の背中に俺は声をかけた。
「さっき店で言ったことなんだけど……」
「お店で言ったこと……?」