堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
ぼんやりそんなことを思いながら、ふたりで料理を仕上げ、ダイニングテーブルの真ん中にパエリアのフライパンを置くと、それだけで素晴らしいクリスマスのご馳走が出来上がったように見えた。
瑠璃がパエリアと並行して作っていた、ミネストローネも美味しそうだ。
「今まで料理は食べる専門だったが、やってみると楽しいものだな」
「志門さん、お米を研いだのとサフランを手で揉んだだけですけどね」
「……あれ、そうだった?」
クスクス笑い合って、乾杯する。妊娠中で酒の飲めない瑠璃に合わせ、俺もグラスの中身はノンアルコールのシャンパンだ。
「一時はどうなることかと思いましたけど、志門さんと一緒にこうして楽しいクリスマスを迎えられてよかった」
瑠璃が俺の背後にあるクリスマスツリーを見つめ、幸せそうに目を細める。その顔を見ただけで、俺の胸にもあたたかな幸福がとくとくと満ちていく。
「ああ。俺もよかった。いきなり現れた婚約者が、瑠璃のような優しい女性で」
「志門さん……」