堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
その後、切り分けたケーキをふたりで食べ、すっかり満腹になった瑠璃は眠気に襲われたのか目をトロンとさせていた。
でも、今夜はクリスマスイブという特別な夜だから……眠ってしまう前に、どうか正直な俺の気持ちを聞いてほしい。
ふたりで分担してキッチンを片付けたあと、ソファで寛ぐ瑠璃の隣に腰掛けて「少し話せる?」と尋ねると、瑠璃は「もちろん」と姿勢を正した。
「病院で、意識が回復してすぐは……まさか自分に婚約者がいるなんて、しかもそのお腹には子どもまでいるなんて、信じられなかった。悪い冗談だとさえ思った。でも、瑠璃と接する時間が増えれば増えるほど、抱いていた不安や疑問は、不思議と溶けてなくなっていった。瑠璃と一緒にいる時間は、とても安らいで心地いいから」
「志門さん……」
「だからといって、以前の俺に戻れる保証はない。記憶がいつ戻るのか、見当もつかない。瑠璃が本当に望んでいる俺の姿には、このまま一生なれないのかもしれない。……でも」
俺は彼女の膝に置かれた小さな両手を握り、瞳をまっすぐ見つめて語り掛ける。