堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「い……今、動きました!」
「動いたって……?」
「赤ちゃん! 初めてなんです、胎動を感じたの!」
「本当か……!」

 俺も思わず興奮して、瑠璃のお腹に手のひらで触れる。しばらくはなんの動きもなかったのだが、根気よく待っていると、やがて内側から〝ここにいるよ〟と伝えてくるような、優しい衝撃を感じた。

「……生きているんだな、ちゃんと」
「きっと、この子からのクリスマスプレゼントですね」
「そうだな。……あ、あれに記入しておかないと」

 俺はそう言うと二階に上がり、書斎に置いてあったビジネスバッグの中から小さな手帳を出して瑠璃のもとへ戻る。

「志門さん、そのパパ手帳……覚えていたんですか?」
「いや、覚えていたわけじゃない。入院中にバッグに入っているのを見つけて、中を読んで……その時は、こんなふうに愛情たっぷりに、子どものことを記録し続けて行く自信がなくて、すぐ閉じてしまったんだ」

 でも、今またそれを開いてみたくなった。今の自分の素直な言葉で、我が子が育っていく喜びを、記録したくなった。

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