堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「今日から再開するよ。さっきの感触を忘れないうちに」
俺はボールペンを握り、さっそく文章を書き始める。
【十二月二十四日、火曜日。初めての胎動を感じる。クリスマスイブという特別な夜に、きみの生命力を感じてうれしくなった。俺はまだ未熟な父親だが、きみとママを守りたい気持ちだけは誰にも負けない。だから、今は安心してすくすく育ってほしい】
「やっぱり……志門さんは志門さんです」
手帳の文字を読んだ瑠璃が、穏やかな声でしみじみ呟く。
「どういう意味?」
「もし、ここにいるのが記憶をなくしてない志門さんだったとしても。初めての胎動を感じた時、同じことを書きそうだなって思って」
「……そうかな」
「そうですよ、絶対」
瑠璃は自信たっぷりに頷き、手帳をうれしそうに何度も読み返していた。
その夜は、瑠璃とベッドの中で寄り添い、手を繋いで眠った。
入院中は記憶が戻らない不安でまともに眠れない日が多かったのだが、瑠璃がそばに居ると不思議と心が満たされて、安らかに眠ることができるのだった。