堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
【仕事があるから先に帰るが、瑠璃はホテルでゆっくり過ごすといい。日本に戻ったらすぐに連絡して。きみとの関係をこれきりにしたくない】
「志門さん……」
胸がきゅんと音を立て、思わず口元が緩んだ。
……このメモに従って、帰国したらすぐ連絡しよう。彼と過ごしたあの甘いひとときは夢じゃなかったんだって、もう一度会って確認したいもの……。
そんなことを思いながら、さっそくスマホに連絡先を登録しようと、メモの隣にあった名刺を手に取ったその瞬間――私は思いもよらなかった彼の身分を知り、愕然とした。
【株式会社京極建設 取締役副社長 京極志門】
京極、建設……。嘘でしょ? 京極建設って、あの? 確かに〝建築士〟だとは聞いていたけれど……。
軽いめまいを覚え、手近にあった椅子に腰を下ろす。そして再び名刺をジッと見つめた。
偽造されたもの……な、わけないよね。ということは、志門さんは日本のゼネコン業界のトップを走る、京極建設の副社長なのだ。
そんなすごい人が、どうして一介の大学生である私なんかと一夜を……。