堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「志門さん……」
胸にこみ上げる愛しさから自然と名前を呼ぶと、彼はゆっくり身を屈めて私の頬に軽くキスしたあと、内緒話のように耳元で告げる。
「瑠璃。ベッドへ」
「はい……」
彼はダンスをエスコートするように私の手を取り、立っていたサロンのような空間から部屋の奥へと進む。
そして別の部屋に繋がるドアを開けると、キングサイズのベッドが中央に構える寝室があり、彼は私をベッドに座らせる。自分も隣に腰かけ、私のティアラと髪留めをはずした。
さら、と髪が肩に落ちて、熱を孕んだ視線が絡み合う。志門さんは私から目を離さずにティアラと髪留めを手の届く場所にあったテーブルに置き、自由になった両手で私の顔を包み込むように掴んで唇を合わせた。
私は自然と彼の背中に腕を回し、覚えたばかりのキスに夢中になる。お互いの息遣いが激しくなっていき、やがて私の体はベッドに沈められた。
* * *
本当に、幸福な甘い夜だった。……けれど、全部忘れなければ。
記憶も、重ね合わせた肌の感覚も。彼に抱いた、初めての恋心も。