堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「別にないよそんなの。それより、心配かけてごめんね」
「いや、そんなの気にするな。それで? 体の方はどうなんだ? バイト中に倒れたと聞いたが……」
ベッドの方に歩み寄ってきた浩介さんが、さっきまで俺が腰かけていた椅子に座り、気遣わしげに瑠璃を見つめる。
「うん。最近食欲がなかったから栄養状態が良くなかったみたいで……。でも、点滴でだいぶ楽になったよ。今日はこれが終わったらもう帰れるの」
「そうか。よかった……。じゃあ、母さんに連絡してくるな。俺が先に行って様子見てくるって言ってあるから、今頃心配してると思う」
「うん。ありがとう」
浩介さんは妹に優しい眼差しを向け、椅子から立ち上がる。しかし、側に立っていた俺を見るなり彼の表情は殺気立ったものに変わった。
「最近瑠璃に元気がなかったのは、あなたのせいでしょう。結婚なんか、俺は認めませんからね」