堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
低い声で言い残し、彼は部屋を出て行く。その姿を見送ると、瑠璃が申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「すみません、兄が失礼なことを言って」
「いや、怒るのも当然だ。どこの馬の骨ともわからない男が、かわいい妹を奪おうとしているんだから」
「帰ったら、妊娠のことも志門さんのことも、ちゃんと家族に話します。お兄ちゃんはますます怒るかもしれないけど……」
瑠璃が困ったように苦笑する。俺は再び椅子に腰を下ろし、彼女を見つめながら言い聞かせた。
「もしそうなったら、わかってもらえるまで根気よくお兄さんを説得すればいい」
「志門さん……ありがとう」
俺は微笑み、優しく彼女の髪を撫でた。
愛しい相手にこうして直接触れられるというのは、なんて幸せなことなんだろう。俺は穏やかにそう思いながら、瑠璃と再会するまでずっと渇いていた心が潤いを取り戻していくのを感じていた。