堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「前もって〝彼氏だ〟と紹介されていればまだわかるが、いきなり現れたかと思えば妹を妊娠させたなんて言われて、許せるはずがないだろう」
「まったくもう、頭が固いんだから。……瑠璃、浩介のことは放っといてお風呂に入っちゃいなさい」
「うん……」

 母に促されて立ち上がった私は、キッチンにいる兄に近づいて声をかける。

「お兄ちゃん、ごめんね」
「別に瑠璃に謝ってほしいわけじゃない。あの京極って男が気に食わないだけだ。童話から飛び出してきた異国の王子みたいな顔しやがって……『はじめまして』と微笑まれた時、男なのに胸がキュンとしたっつーの」

 忌々しげに呟く兄だけど、志門さんがカッコいい人だというのは認めざるを得ないらしい。思わずクスッと笑ってしまった私をじろりと睨み、兄は続ける。

「京極建設の御曹司であそこまで容姿が整っているんだから、絶対女にモテる。お腹の子に、腹違いの兄弟がいたらどうするんだよ?」
「ちょっと、そんな言い方ひどい……!」

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