愛を贈りたいから〜これからもずっと〜

正直、俺はあいつの仕事のことは、よくわからない。あいつもあまり詳しく仕事のことを話してくることはない。心配かけまいと気を遣ってくれてるのかもしれないし、俺に話しても仕方がないと思っているのかもしれない。


ただ、口ぶりから、なんとなく順調なんだろうな、とは感じている。


それは彼氏として、嬉しいし、応援もしている。だけど、その一方で感じる寂しさはなんなんだろう。


それはたぶん、由夏がだんだん遠く感じられて行く寂しさ。あいつがデザイナーとして、成長すればするほど、俺とあいつが一緒に暮らす日は遠くなって行くだろう。


だからと言って、焦って、早く俺の所に来いなんてあいつに強制するつもりはサラサラない。あいつの失敗を願うほど、さもしい心の持ち主でもないつもりだ。


第一、今の俺が早く仙台に来いなんて、あいつに言えるわけもない。冗談じゃない、私を路頭に迷わす気って言われたら返す言葉もない。


もちろん、そんなこと、あいつが言うわけないけど、でも思って当たり前だ。


由夏にそんな思いを抱かせないようにする為にも、俺はやるべきことをやり続けて行くしかない。


宮崎から肌寒い仙台に戻って来て、皮肉なことに俺は絶好調だった。宮崎の教育リーグでも、ピッチャーとしても、キャッチャーとしても結果を残した。


「今から開幕すれば、一軍どころか、タイトル取れるぞ。お前、シーズンスタート時期を勘違いしとらんか？」


小谷コーチの嫌味半分の言葉に苦笑いするしかなかったが、思えば、昨年もこの時期、絶好調で監督期待の星にのし上がった。だがプロ野球選手は秋男では、飯は食えないのは確かなことだ。


（来季は絶対に今年の二の舞は踏まない。）


俺はその思いを胸に刻んで、練習に励んだ。今の感触、調子を絶対に忘れないように、身体に染み込ませるように。


そんな日々を過ごして、11月も後半に差し掛かった日、俺は練習を終えると、仙台を離れて、神奈川に戻った。


ある慶事に参加する為だった。