愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
式が終わったあと、私達は新婦の控室に。私達の顔を見ると、悠は本当に嬉しそうに顔をほころばせてくれた。


「悠、おめでとう。」


「由夏、加奈、今日はありがとう。凄い緊張してたんだけど、2人の顔見たら、なんかホッとして、落ち着いた。」


そう言ってくれて、こちらもホッとした。だって、両家の親族に混じって、私達2人だけが違ったから、ちょっと場違いな居辛い感じもしてたから。


「今日は2人ともよろしくね。特に由夏にはスピーチも頼んじゃって、大変だよね?」


そう。今日私は披露宴の受付だけでなく、スピーチも頼まれている。加奈は


「私は2人と仲良くなったのは、卒業半年前からだから。高校時代の悠を語る資格があるのは、由夏だけじゃない。」


う〜ん、逃げたなこの子と思ったけど、まぁ一理あるかなとも思ったので、結局は2つ目の大役も引き受けることにしたのだ。


「準備はバッチリ?」


「うん、たぶん頭にもちゃんと入ってる・・・と思う。」


「楽しみにしてるよ、由夏。」


「ちょっとハードル、あんまり上げないで。」


そんな会話を交わして、後もつかえてるようなので、お暇する。そう私達は、受付の準備もあるからね。


式に参列しなかった聡志と沖田くんは、既にスタンバっていた。私達も揃ったところで、式場スタッフからの説明を受けると、いよいよお仕事開始。


式から参列している親族に続いて、披露宴からの招待客が、徐々に登場。目につくのが、立派な肩書を記名帳に記すおじさま、おばさま方。


さすが大企業の御曹司の披露宴ということで、お父さんのつながりで、そういう方々が多数ご来場ということは、事前に聞いているから、新郎側受付の聡志と沖田くんはしゃっちこばって、やっている。


もっとも、そんなお父さんの立場とは、全く無縁の人生を送ろうとしている先輩は、見も知らぬ人達に押し出されるように、自分の本当に呼びたい友人や後輩、更には悠側の友人達の一部が二次会からの参加にならざるを得なくなってしまったことに激怒。


お父さんと大喧嘩になって、間に入って、悠と先輩のお母さんは、大変だったらしい。


そんな中に、もちろん私達の友人、知人の顔もある。


「この度はおめでとうございます。」


そう言って、私達の前に立ったのは、松本省吾先輩と奥さんのみどりさん。それはそれは目にも眩いばかりの美男美女カップル。


(うわ、相変わらずカッコいい・・・。)


私は思わず先輩に見惚れてしまった。
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