愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
それから2人で、バタバタとしているうちに、冬の陽はあっと言う間に暮れてしまった。


「とりあえず、今日はこんなもんかな。明日もう少しやれば、完全に片付くよ。」


「ありがとうな。でも、ここまでキレイになりゃ、もう十分だし。」


「いえいえ、乗りかかった船だもん。最後までやらないと、私が気持ち悪いから。」


そう言って、笑う私。


「わかった、じゃお言葉に甘えさせてもらう。とりあえず、飯食いに行こうか。」


そう答える聡志も笑顔だった。


夕飯は、仙台の街に戻って、久しぶりの堀岡さんのレストランに。すっかりご無沙汰してしまった私を、ご夫妻は大歓迎してくれた。


相変わらずの絶品のディナーを、リーズナブルに堪能させていただき


「塚原くんが一人暮らし始めたなら、由夏ちゃんもこっちに来やすくなるね。だから、今年はいっぱい顔を出してね。」


なんて言われた挙げ句


「久しぶりに来てくれたから、いろんな話もしたいけど、あんまり引き止めるのも野暮だもんね。」


と言う奥さんの言葉に、思わず赤面してしまった。


こうして、近々の再会を約して、私達はレストランを後にした。


「相変わらず、美味しかった。ありがとう、聡志。」


「たまには別の場所をと思うんだけど、なかなか、これっていうとこがなくてな。」


「ううん、毎回大満足だよ。こないだ、悠に堀岡さんの話をしたら、メチャクチャ羨ましがられた。いつか絶対連れてって、大興奮してた。」


「おいおい、妊婦さんをあんまり刺激すんなよ。って、水木にまた会ったの?」


「うん、ちょっと用事もあったから、先週、悠んち行ったんだ。」


「フーン、そうだったんだ。」


そんな話をしながら、私達はマンションに戻る。ドアを開け、中に入ると、私はそのまま、まっすぐにベランダに出た。


「本当だ、凄く綺麗。」


さっきまで居た仙台の街が、美しく輝いて見えている。


「確かに最初のうちは、結構感動したけど、毎日だと慣れちまうよ。ただし。」


横に並んだ聡志が


「由夏が隣に居てくれるなら、話は当然別だけどな。」


と私を見ながら、そんなことを言って来る。


「今日はこれから、ずっと一緒に居られるんだね。」


「ああ。」


「聡志の門限も、私の電車の時間も気にしなくていいんだよね。」


「ああ。」


「嬉しい。」


そう言って、聡志の顔を見た私の肩を、彼は強く抱き寄せてくれた。


「今夜はずっと一緒だ。」


その聡志の言葉を合図に、私達は唇を重ね合った。
< 144 / 330 >

この作品をシェア

pagetop