愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
それから、私達は日々の業務に勤しんだ。そうするしかなかった。動揺は収まったわけではないけど、いつまでも右往左往しているわけにはいかないから。
そんなある日、勤務を終えて、退社しようとしていると、平賀さんに呼ばれた。
「失礼します。お呼びでしょうか?」
「ああ、帰り間際にスマンな。」
平賀さんからは、来月から展開される冬物の重衣料の販売応援スケジュールを早めに組むように指示を受けた。
「並木とも相談して、出来たら報告をくれ。」
「わかりました。」
「じゃ、そういうことでお疲れさん。」
話が終わり、私にそう言うと、平賀さんは持っていた書類に目を落とした。だけど、私が一向に出て行く様子がないことに気づいて、顔を上げた。
「どうした。何か、話があるのか?」
平賀さんにそう問われた次の瞬間、私は
「平賀さん、本当にすみませんでした!」
と言って、深々と頭を下げた。
「岩武・・・。」
突然の私の行動に驚く平賀さんに
「私、なんにも知らなかったのに、ずっと平賀さんに酷い態度とってて・・・。本当に申し訳ありませんでした。」
頭を下げたまま、私は言う。すると平賀さんは、椅子から立ち上がり、私に近付いて来る。
「丸山のことか。」
「会社のことも、平賀さんがどんなに頑張って、苦しんで来られたか。私、考えた事もありませんでした。」
「いつまで最敬礼してるんだ。いい加減頭、上げろよ。」
そんな優しい口調の言葉が降って来て、私はようやく頭を上げ、平賀さんを見た。
「どうしたんだ、急に?」
「井上さんが、この間、いろいろ教えて下さいました。」
「そうか、玲さんがな。」
(玲さん?)
その呼び方に、私は違和感を持つ。すると、平賀さんもそれに気付いたようで
「馴れ馴れしかったか?つい癖が出ちゃったな。」
と苦笑い。
「癖?」
「うん、仕事中は気をつけてたんだが。普段は、そう呼んでるから。彼女のこと。」
あれ、やっぱり付き合ってたの?2人は・・・。
「ただし、別に付き合ってるわけじゃないぞ。彼女と付き合ってるのは、俺の弟だ。」
「えっ?」
「大学のサークルで一緒だったそうだ。その時は、別になにもなかったようだが、卒業してから、しばらくして弟が偶然、玲さんのショップに立ち寄ったのがきっかけらしい。世の中、広いようで狭いと言う話だ。」
そう言って、平賀さんは笑った。
そんなある日、勤務を終えて、退社しようとしていると、平賀さんに呼ばれた。
「失礼します。お呼びでしょうか?」
「ああ、帰り間際にスマンな。」
平賀さんからは、来月から展開される冬物の重衣料の販売応援スケジュールを早めに組むように指示を受けた。
「並木とも相談して、出来たら報告をくれ。」
「わかりました。」
「じゃ、そういうことでお疲れさん。」
話が終わり、私にそう言うと、平賀さんは持っていた書類に目を落とした。だけど、私が一向に出て行く様子がないことに気づいて、顔を上げた。
「どうした。何か、話があるのか?」
平賀さんにそう問われた次の瞬間、私は
「平賀さん、本当にすみませんでした!」
と言って、深々と頭を下げた。
「岩武・・・。」
突然の私の行動に驚く平賀さんに
「私、なんにも知らなかったのに、ずっと平賀さんに酷い態度とってて・・・。本当に申し訳ありませんでした。」
頭を下げたまま、私は言う。すると平賀さんは、椅子から立ち上がり、私に近付いて来る。
「丸山のことか。」
「会社のことも、平賀さんがどんなに頑張って、苦しんで来られたか。私、考えた事もありませんでした。」
「いつまで最敬礼してるんだ。いい加減頭、上げろよ。」
そんな優しい口調の言葉が降って来て、私はようやく頭を上げ、平賀さんを見た。
「どうしたんだ、急に?」
「井上さんが、この間、いろいろ教えて下さいました。」
「そうか、玲さんがな。」
(玲さん?)
その呼び方に、私は違和感を持つ。すると、平賀さんもそれに気付いたようで
「馴れ馴れしかったか?つい癖が出ちゃったな。」
と苦笑い。
「癖?」
「うん、仕事中は気をつけてたんだが。普段は、そう呼んでるから。彼女のこと。」
あれ、やっぱり付き合ってたの?2人は・・・。
「ただし、別に付き合ってるわけじゃないぞ。彼女と付き合ってるのは、俺の弟だ。」
「えっ?」
「大学のサークルで一緒だったそうだ。その時は、別になにもなかったようだが、卒業してから、しばらくして弟が偶然、玲さんのショップに立ち寄ったのがきっかけらしい。世の中、広いようで狭いと言う話だ。」
そう言って、平賀さんは笑った。