愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
㊲
二軍とは言え、日本一の栄冠を勝ち取った俺達は、そのまま宮崎に居残り、練習と教育リーグ参戦に明け暮れる日々を送っていた。
もっとも、あの試合を戦った仲間全員が、今、ここにいるわけではない。試合の翌日には、非情な通告を受けた連中が何人か、肩を落として宮崎を去って行ったし、そもそも宮崎まで来られなかった選手もいる。
毎年繰り返される、辛く厳しい現実。しかし幸いなことに、俺はこうして宮崎にいる。取り敢えず、来年もう1年の機会を与えられるようだ。
そして、一軍は惜しくも優勝は逃したけど、久々のAクラス入り。来年、契約最終年となる野崎監督は
「去年はホップ、今年はステップ、そして来年はジャンプの年や。いよいよ集大成の年になる。二軍が日本一になって、若い力も着実に伸びて来とる。来年は必ず仙台にペナントを持ち帰る。」
と高らかにぶち上げた。その監督の言葉を受けて、来季に向けての体制作りがスタート。二軍監督が来季は一軍のバッティングコーチに、更に小谷ピッチングコーチが一軍に昇格との報道が流れた。
翌日、グラウンドに現れた二軍監督は、報道内容が事実であることを認め、今日を最後に二軍を離れることを俺達に告げ
「お前達には、日本一の監督にしてもらった。感謝してる。来季は一軍で待ってるからな。」
と退任の挨拶を行った。このあと、小谷さんの挨拶が続くかと思われたが、全くその気配がないまま、練習が始まった。
当然、気になった俺達は、小谷さんに尋ねるが
「俺はなんも聞いとらん。マスコミが勝手に流しとるんだろ。」
と涼しい顔で言うと
「どっちにしろ、お前達が気にすることじゃない。さっさと練習始めんか。」
と、せきたてられ、俺達はグラウンドに散ったのだが、俺は2年前の二軍監督交代時には、監督代行を務めた小谷さんが、今回は代行に指名されなかったことが、気になっていた。
そして、練習が終了したあと、チームスタッフから、明日契約更改を行う旨を通告された。
(いよいよだな。)
俺の中に、緊迫感が走る。まだ由夏以外、誰にも話してない俺の胸の内。二刀流を辞め、ピッチャー専任で勝負したい。この思いを明日、いよいよ球団に訴える。
受け入れられるかどうか。もしダメだと言われたら、どうなるんだろう。俺が押し返したら、クビになっちまうかもしれない。だが、恐らく妥協して、二刀流を続けても、多分1年後には・・・。
だとすれば・・・俺は、完全に腹を括った。
もっとも、あの試合を戦った仲間全員が、今、ここにいるわけではない。試合の翌日には、非情な通告を受けた連中が何人か、肩を落として宮崎を去って行ったし、そもそも宮崎まで来られなかった選手もいる。
毎年繰り返される、辛く厳しい現実。しかし幸いなことに、俺はこうして宮崎にいる。取り敢えず、来年もう1年の機会を与えられるようだ。
そして、一軍は惜しくも優勝は逃したけど、久々のAクラス入り。来年、契約最終年となる野崎監督は
「去年はホップ、今年はステップ、そして来年はジャンプの年や。いよいよ集大成の年になる。二軍が日本一になって、若い力も着実に伸びて来とる。来年は必ず仙台にペナントを持ち帰る。」
と高らかにぶち上げた。その監督の言葉を受けて、来季に向けての体制作りがスタート。二軍監督が来季は一軍のバッティングコーチに、更に小谷ピッチングコーチが一軍に昇格との報道が流れた。
翌日、グラウンドに現れた二軍監督は、報道内容が事実であることを認め、今日を最後に二軍を離れることを俺達に告げ
「お前達には、日本一の監督にしてもらった。感謝してる。来季は一軍で待ってるからな。」
と退任の挨拶を行った。このあと、小谷さんの挨拶が続くかと思われたが、全くその気配がないまま、練習が始まった。
当然、気になった俺達は、小谷さんに尋ねるが
「俺はなんも聞いとらん。マスコミが勝手に流しとるんだろ。」
と涼しい顔で言うと
「どっちにしろ、お前達が気にすることじゃない。さっさと練習始めんか。」
と、せきたてられ、俺達はグラウンドに散ったのだが、俺は2年前の二軍監督交代時には、監督代行を務めた小谷さんが、今回は代行に指名されなかったことが、気になっていた。
そして、練習が終了したあと、チームスタッフから、明日契約更改を行う旨を通告された。
(いよいよだな。)
俺の中に、緊迫感が走る。まだ由夏以外、誰にも話してない俺の胸の内。二刀流を辞め、ピッチャー専任で勝負したい。この思いを明日、いよいよ球団に訴える。
受け入れられるかどうか。もしダメだと言われたら、どうなるんだろう。俺が押し返したら、クビになっちまうかもしれない。だが、恐らく妥協して、二刀流を続けても、多分1年後には・・・。
だとすれば・・・俺は、完全に腹を括った。