愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
翌日、俺は二軍の練習に参加したが、俺の一軍昇格は、既にみんなの知るところとなっていて、仲間達から祝福を受けた。
いつも通り、メニューをこなしていると、例のツアーの人達が、今日は二軍の練習を見に来た。当然長谷川の姿があり、俺達は目礼を交わす。
このツアーは、一軍選手の宿舎に、一緒に宿泊出来るのが、1つの売りになっていて、また2日目の夕食は一部選手と一緒に摂れるという企画も好評らしい。
過去にそこからロマンスが生まれた例もある一方で、トラブルもあったみたいで、選手とファンの触れ合いの場は、ツアー開始当初に比べると、かなり限定的になったそうだが、それでも若い女性ファンの人気は高いと聞いている。
そう言えば、今日の夕食会の参加選手の1人に菅沼さんが予定されていたはず。大丈夫かな、と一瞬不安になったが、俺が気にすることではないかと思い直した。
ツアーの人達とは、途中触れ合いの時間がとられ、サインをしたり、写真を撮ったり、握手をしたりしたが、長谷川との接触は特になく、彼らはやがて、引き上げて行った。
そのあとは、練習メニューを順調にこなし、夕方になった。休前日なので、今夜の夜間練習は休み。これで二軍選手としてのスケジュールは終了したことになる。
(もう絶対に、ここには戻って来ない。)
そう心の中で、固く誓い、一礼すると、俺はグラウンドを後にした。
一軍に上がることになったので、宿舎を移動しなければならなくなった。一軍と二軍の宿舎のグレードの差は、はっきり言ってかなりある。今日のうちに移動することも可能なのだが、荷物の整理もあるし、明日の休日に、ゆっくり移動することにして、今日は今までの部屋に戻った。
大浴場でゆっくり疲れを癒やし、夕食は仲間達とバカ話をしながら、賑やかに食べていると、前田監督に手招きされた。
「希望通り、短い付き合いになったな。」
「お陰さまで。」
「とにかく、気持ちで負けるな。そうすれば、必ず道は開ける。」
「はい。」
「お前の活躍は、ここにいる全員の励みになる。しっかりやれ。」
「ありがとうございます。では、行って来ます。」
そう言って、頭を下げた俺に、監督はニヤッと笑うと、ポンと肩を叩いて、激励してくれた。
食事が終われば、今日は自由時間。門限も休前日は少し遅くなるから、外に繰り出す連中も多かったが、俺は宿舎の周りを散歩がてら、ブラブラすることにした。
ホテルを少し離れると、途端に灯りが少なくなる。でも気候は温暖で、空を見上げれば、まさしく満天の星空が広がり、思わず目を奪われる。
(由夏と一緒に見たかったな・・・。)
そんなことを考えながら、浸っていた感傷は
「塚原くん。」
と俺に呼び掛ける声で、断ち切られた。
いつも通り、メニューをこなしていると、例のツアーの人達が、今日は二軍の練習を見に来た。当然長谷川の姿があり、俺達は目礼を交わす。
このツアーは、一軍選手の宿舎に、一緒に宿泊出来るのが、1つの売りになっていて、また2日目の夕食は一部選手と一緒に摂れるという企画も好評らしい。
過去にそこからロマンスが生まれた例もある一方で、トラブルもあったみたいで、選手とファンの触れ合いの場は、ツアー開始当初に比べると、かなり限定的になったそうだが、それでも若い女性ファンの人気は高いと聞いている。
そう言えば、今日の夕食会の参加選手の1人に菅沼さんが予定されていたはず。大丈夫かな、と一瞬不安になったが、俺が気にすることではないかと思い直した。
ツアーの人達とは、途中触れ合いの時間がとられ、サインをしたり、写真を撮ったり、握手をしたりしたが、長谷川との接触は特になく、彼らはやがて、引き上げて行った。
そのあとは、練習メニューを順調にこなし、夕方になった。休前日なので、今夜の夜間練習は休み。これで二軍選手としてのスケジュールは終了したことになる。
(もう絶対に、ここには戻って来ない。)
そう心の中で、固く誓い、一礼すると、俺はグラウンドを後にした。
一軍に上がることになったので、宿舎を移動しなければならなくなった。一軍と二軍の宿舎のグレードの差は、はっきり言ってかなりある。今日のうちに移動することも可能なのだが、荷物の整理もあるし、明日の休日に、ゆっくり移動することにして、今日は今までの部屋に戻った。
大浴場でゆっくり疲れを癒やし、夕食は仲間達とバカ話をしながら、賑やかに食べていると、前田監督に手招きされた。
「希望通り、短い付き合いになったな。」
「お陰さまで。」
「とにかく、気持ちで負けるな。そうすれば、必ず道は開ける。」
「はい。」
「お前の活躍は、ここにいる全員の励みになる。しっかりやれ。」
「ありがとうございます。では、行って来ます。」
そう言って、頭を下げた俺に、監督はニヤッと笑うと、ポンと肩を叩いて、激励してくれた。
食事が終われば、今日は自由時間。門限も休前日は少し遅くなるから、外に繰り出す連中も多かったが、俺は宿舎の周りを散歩がてら、ブラブラすることにした。
ホテルを少し離れると、途端に灯りが少なくなる。でも気候は温暖で、空を見上げれば、まさしく満天の星空が広がり、思わず目を奪われる。
(由夏と一緒に見たかったな・・・。)
そんなことを考えながら、浸っていた感傷は
「塚原くん。」
と俺に呼び掛ける声で、断ち切られた。