愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
由夏との会話を終えた俺は、フッとため息をついていた。
(張り切ってたな、あいつ・・・。)
今の由夏は、まさに仕事に乗っている。そんな感じだ。仙台に来る、あいつが言ってくれたのが去年の秋だった。あと半年、というのが、あの時の約束。その時期がやって来ようとしている。
だが、集団退職者が出たという予期せぬ事態があったから、仕方ないんだけど、その後由夏の口から、どうするという話は出て来ない。
俺を蔑ろにしている、ということは多分ない。今日だって、俺の成績をちゃんと把握していてくれていた。
GWのこっちにいた3日間だって、あいつは俺の為に甲斐甲斐しく動き回って、後はペッタリ俺に張り付いて、甘えていた。俺との時間を、俺と2人でいる空間を楽しんでいた。
だけど、由夏はいつこっちへ来るとかいう具体的な話を、一切しようとはしなかった。周到にその話題になるのを避けてる印象すら受けた。
そして、俺も由夏にそれを問おうとはしなかった。今の由夏にとっては、仕事は俺との時間と同じくらい大切なもの。それを俺のワガママや都合で取り上げることなんか出来ない。
「仕事、もういいって言うまで、とことんやり抜け。」
そうあいつに言ったのは、俺自身。それを実践しようとしているあいつを俺が邪魔するわけにはいかない。
あいつが俺を応援してくれてるように、俺もあいつを応援しなくちゃいけない。いや、している。間違いなく。
俺はベランダに出た。遠くに見える仙台の街が、俺の心をざわめかす。
あの場所に、仙台スタジアムがある。俺が憧れ、恋い焦がれるマウンドがある。手を伸ばせば、届きそうな場所なのに、なぜこんなに果てしなく、遠くに感じるんだろう。
いや、そんなことはない。もうすぐだ。もう二軍に俺の行く手を遮る奴はいない。俺は間違いなく、一軍の門が開くのを、その前で待っている。
(その日が来るのを信じて、準備万端整えて待つ。今の俺がやるべきことはただ、それだけ。そうだよな、由夏。)
そうあいつに語り掛けていると、ポケットの携帯が震えだしたのに気付く。
しかし、それが誰からの着信かを確認することはなく、俺はしばらく、仙台の街を眺めていた。
(張り切ってたな、あいつ・・・。)
今の由夏は、まさに仕事に乗っている。そんな感じだ。仙台に来る、あいつが言ってくれたのが去年の秋だった。あと半年、というのが、あの時の約束。その時期がやって来ようとしている。
だが、集団退職者が出たという予期せぬ事態があったから、仕方ないんだけど、その後由夏の口から、どうするという話は出て来ない。
俺を蔑ろにしている、ということは多分ない。今日だって、俺の成績をちゃんと把握していてくれていた。
GWのこっちにいた3日間だって、あいつは俺の為に甲斐甲斐しく動き回って、後はペッタリ俺に張り付いて、甘えていた。俺との時間を、俺と2人でいる空間を楽しんでいた。
だけど、由夏はいつこっちへ来るとかいう具体的な話を、一切しようとはしなかった。周到にその話題になるのを避けてる印象すら受けた。
そして、俺も由夏にそれを問おうとはしなかった。今の由夏にとっては、仕事は俺との時間と同じくらい大切なもの。それを俺のワガママや都合で取り上げることなんか出来ない。
「仕事、もういいって言うまで、とことんやり抜け。」
そうあいつに言ったのは、俺自身。それを実践しようとしているあいつを俺が邪魔するわけにはいかない。
あいつが俺を応援してくれてるように、俺もあいつを応援しなくちゃいけない。いや、している。間違いなく。
俺はベランダに出た。遠くに見える仙台の街が、俺の心をざわめかす。
あの場所に、仙台スタジアムがある。俺が憧れ、恋い焦がれるマウンドがある。手を伸ばせば、届きそうな場所なのに、なぜこんなに果てしなく、遠くに感じるんだろう。
いや、そんなことはない。もうすぐだ。もう二軍に俺の行く手を遮る奴はいない。俺は間違いなく、一軍の門が開くのを、その前で待っている。
(その日が来るのを信じて、準備万端整えて待つ。今の俺がやるべきことはただ、それだけ。そうだよな、由夏。)
そうあいつに語り掛けていると、ポケットの携帯が震えだしたのに気付く。
しかし、それが誰からの着信かを確認することはなく、俺はしばらく、仙台の街を眺めていた。