愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
本当はすぐにでも、仙台に行きたいけど、さすがに疲れたし、寝たいという聡志の言葉も嘘じゃないだろう。


私は両親に挨拶をすると、そのままベッドに潜り込んだ。寝付けるか、心配だったが、割とすぐに眠りに落ちたようで、目覚しも掛けなかったけど、お昼にはスッキリと目覚めることが出来た。


すぐにシャワーを浴び、お母さんが用意してくれたご飯をいただいて、手早く準備をして、家を出る。


電車の中では、私もたくさんの祝福をもらっていた事を思い出して、返信に勤しむ。はしゃいで、夜ふかししてしまって、返信が遅くなってごめんとメッセージを送ると


『そんなことだろうと思った。由夏らしいね。でも、その気持ち、よくわかるよ。本当によかったね。』


悠からはそんな返信が返って来た。


それも新幹線が東京を離れる頃には、一段落した。私は聡志に、今そっちに向かっている旨をLINEしてみる。少しすると、既読にはなったけど、いつまでも経っても、何の反応も返っては来ない。


やっぱりまだ、怒っているんだと、ため息が出る。


(私、なんの因果で、聡志の大切なデビュー戦が知らない間に終わってて、応援出来なかったんだろう。そんなに普段の行いが悪いのかな・・・?)


また、そんなマイナスの思考に沈んでしまう。


仙台駅に着いた頃には、陽はもうほとんど西に傾いて、沈み行こうとしていた。あの朝日がまぶしかった朝が、同じ日なんだなと、改めて思い出す。


サプライズで出迎えに来てくれてないかなんて、ちょっぴり期待したんだけど、考えて見れば、正確な到着時間を知らせてあるわけじゃないから、それは無理な相談。


改札口を出て、キャリーバッグを転がしながら、在来線に乗り換える。1日の仕事や勉強を終えた人達の波に混じって、電車に揺られ、ホームに降り立った時には、完全に夜の帳が訪れていた。


歩いて10分程で、聡志のマンションに。オートロックを解除して、中に入ろうと暗証番号を入れるけど、解除されない。ミスしたのかと思って、もう1度入力してみるけど、やっぱり開かない。


(どういうこと・・・?)


私が来るって、わかってて暗証番号変えたってこと?まさか、そんな子供じみた嫌がらせを・・・。


インターフォンを鳴らしてみるけど、反応がない。居留守かと思ったけど、確認してみると、駐車スペースに車がない。本当に出掛けているんだろう。


電話を掛けると留守電に。仕方なく


『着きました。今どこ?中に入れないから、エントランスで待ってます。連絡下さい。』


ってメッセージを入れてみる。LINEも入れようかと思ったけど、意味ないなと思って止めた。


とりあえず待つしか、ない・・・。
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