愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
気のおけない仲間との飲み会は、久しぶりだし、本当に楽しかった。野球の話はもちろん、バカ話もたくさんした。多分コイツらとだったら、一晩飲み明かしても話は尽きない。


いや、実はコイツら、今日は俺のマンションに泊まる予定。ちゃっかりしてやがると思ったが、まぁ高い旅費を払って来てくれたんだからな。


今夜は長くて楽しい夜に、なりそうだ。


2時間程で時間が来て、俺の家へ移動。


「お、結構いいマンションじゃねぇか。さすがに大投手。」


「大投手になる前から住んでるよ。こっちは物価が安いんだ。」


以前も誰かと交したような会話をしながら、中に入る。すると


「お前、外と中の差があり過ぎるぞ。」


「最近、いつ掃除したんだ?」


と途端にブーイング。


「お前達が来るって言うから、昨日少し片付けたよ。」


と反撃するも


「それで、これかよ。普段はどんな状況なんだ?」


と呆れられ、仕方なく、3人で片付けを始め、沖田達の合格が出た頃には、小一時間程が経っていた。


「まさか仙台まで来て、掃除させられるとは思わなかった。この代償は高いぞ。」


「俺も一人暮らしだが、ここまで酷くないぞ。よく、こんなんで、長谷川さん、文句言わないな。」


と呆れ顔で沖田にツッコまれ


「は、長谷川とはあんまり家デートとかしねぇから。」


と答える。


「岩武さんは、来てたんだろ?」


「由夏は・・・まぁな。長谷川とあいつのデートの好みの違いもあるだろ。あいつのことは、どうでもいいじゃんか。とにかくお陰できれいになった。喉乾いたし、飲み直そうぜ。」


そう言って、冷蔵庫にビールを取りに行こうとすると


「塚原、お前、本当に長谷川と付き合ってるのか?」


と神が厳しい声で言う。


「なに言い出すんだ、いきなり。当たり前じゃねぇか。」


そう答えた俺に


「じゃ、長谷川、ここに呼んでくれよ。」


と神が畳み掛けて来る。


「えっ・・・。」


「俺も沖田も、長谷川とはクラスメイトだった。知らない仲じゃないし、久しぶりに会ってみたい。お前みたいな奴の彼女やるのも、大変だろうがよろしく頼むって言いたいし。」


「い、いや、いきなり呼び付けられたって、長谷川も迷惑だろう。」


「無理強いはしない。とにかく聞くだけ聞いてみてくれよ。」


「そ、そうだ。彼女、確か、今日明日と社内旅行に行ってるんだ。だから・・・。」


「いい加減にしろ!」


神の怒声に唖然とする俺。


「いつまで、くだらねぇ言い訳してんだ。」


そう言って、俺を見る神の視線は厳しかった。
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