愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
自宅の最寄り駅の改札口を出ると


「由夏!」 


と手を振ってくれる見慣れた顔。高校以来の親友である水木悠(みずきゆう)桜井加奈(さくらいかな)だ。


「ゴメン、待たせちゃって。」


「大丈夫、私達も着いたばっかりだし。」


謝る私に、悠は笑顔で答えてくれる。


「いよいよだね、由夏。」


そんな言葉に、頷いた私に


「もう、柄にもなく緊張しちゃって。今からそれじゃ保たないよ。先は長いんだからから。」


と冷やかすように笑う加奈。もちろん少しでも私の硬さをほぐそうとしてくれてるんだけど。


「わかってるよ、でも・・・。」


普段ならそんな加奈の軽口に、笑って切り返す私だけど、今日はそうもいかない。


「無理ないよ。大袈裟じゃなくて、今日は塚原(つかはら)くんの運命が決まる日。ということは、ある意味、由夏の運命が決まる日でもあるんだから。」


私の心を代弁してくれるように、悠が言う。


「そっか、そうだよね・・・。」


そんな悠の言葉に頷く加奈。


「私のことはともかく、とにかく聡志(さとし)にとって、小さい頃からの夢が叶うのかどうか。今は、祈るしかないよ。」


そう言った私に


「大丈夫だよ、絶対に。塚原くんは、由夏の思いも、仲間達の思いも背負って来たんだもん。今までも、そしてきっとこれからも。」


悠は励ますように言ってくれた。
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