愛を贈りたいから〜これからもずっと〜

⑫

そんな聡志の苦闘を、私は毎日ネットで確認し、また直接聡志から聞いていた。電話もあるし、LINEもあるからね。


逆に、私は正社員登用も無事終了。陽菜さんや平賀さんに付いて、勉強に励んでいる日々を聡志に報告している。


『由夏にどんどん置いてかれるな。』


「そんなことないよ、焦るな、焦るな。」


そんな会話を交わしながら、でも直接会う機会は、本当になかなかない。典型的な遠恋カップル。


GWのあと、2回くらい仙台遠征を試みたんだけど、なかなかタイミングが合わないまま、8月に入った。


今月は、お盆で少しまとまった休みがある。私は前半は加奈と旅行、後半は2度目の仙台遠征決行と少々欲張った予定を立てていた。


トップシーズンで、社会人1年生の懐には、結構ダメージが大きかったけど、でも仕方がないよね。


そんなこんなで、それなりに慌ただしい日々を送っていた私におめでたいニュースが飛び込んで来たのは、夏の甲子園大会や聡志のいる仙台の七夕まつりがそろそろ開幕しようかという時期だった。


我が親友、白鳥悠が無事第一子を出産したんだ。


初産にはよくありがちなことらしいんだけど、予定日を過ぎてもなかなか産気づかず


『陣痛、なかなか来ないんだよねぇ。』


なんて呑気なLINEを私に送って来て、数時間後に突如破水。大慌てで、そのまま実家から病院に直行し、奮闘すること約半日、元気な女の子を出産した。


白鳥先輩は仕事で立ち会えず、悠のお母さんとドライバーとして悠を病院まで運び込んだ大学生の弟が付き添ったんだそうだ。


お母さんにおめでとうございますと連絡を入れると、母子ともに健康とのことで、まずは一安心。


加奈とも相談して、2日後に悠と赤ちゃんに会いに行った。


ただでさえ食いしん坊の悠が、女の一大事業をやり遂げて、さぞお腹を空かせてるだろうと、彼女の大好物の和菓子をたくさん携えて、私達は病院に向かった。