愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
お盆休みは、それからすぐにやって来た。帰省ラッシュに紛れるように、私は加奈と北海道へ。


本当は卒業旅行で幻になってしまった、海外デビューを果たしたかったんだけど、私が今回は2泊までしか出来ないから、また後日までお預けに。


北海道の入口とも言える道南地区で新鮮な魚介類と温泉を堪能しながら、加奈とのおしゃべりを満喫した3日間だった。


そして、私は新千歳空港で加奈と別れて、そのまま仙台に入るハードスケジュール。前回は新幹線で来たから、初めての仙台空港から市内へ。


宿泊は前回よりは少しグレードアップしたシティホテル、ちなみにツイン。今回は2泊出来るから、前の時よりは、聡志との時間が取れるもんね・・・。


ホテルにチェックインして、前回と同じように、聡志に到着をLINEで報告。聡志は今頃、試合の真っ最中。終わったあとに合流というのも前回来た時と同じ流れ。


それまでは、さすがにちょっと疲れたので、ホテルで一休み。カーテンを開けて、外を眺めると前回と違い、仙台の街が目の前に広がる。これなら夜景も綺麗だろうな、なんて期待が膨らむ。


やがて、聡志から連絡が来て、私はホテルを出る。待ち合わせは、あの堀岡夫妻の営むレストラン。私は一足先に中に入る。


「いらっしゃい、お待ちしてました。」


すると奥さんが素敵な笑顔で出迎えてくれる。


「お久しぶりです。あの北海道に行って来たんで、よろしかったら。」


私は、北海道土産ならこれっという定番の白いクッキ-を奥さんに差し出す。


「あら、お気遣いをいただいちゃって、かえって悪かったわね。席は準備できてるから、掛けてお待ちになってて。」


「はい、ありがとうございます。」


まだ2回目だというのに、アットホ-ムな歓迎を受けて、私はすっかりリラックスな気分だっだんだけど、聞けば、お店は本当はお盆休みの最中だったのに、わざわざ私達の為に開けて下さったとのこと。私がびっくりして恐縮すると


「いいのよ、せっかく由夏ちゃんが遠くから来てくれたんだから。主人も食通の由夏ちゃんが食べに来てくれるのを楽しみにしてて、今日はスペシャルコ-スだって張り切ってるわよ。」


いや食通なんてとんでもない・・・私はますます恐縮してしまう。
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