ただ俺たちは恋をした。
『俺の全速力チャリこぎは
水の泡なのかなー?』


その声の主は夏目そのものだった。


「わ、わりぃ!」


俺は振り返って
顔の前で手を合わせ謝った。


夏目はニコニコ笑っているが
かなり怒っているようだ。


『頭打って
おかしくなったみたいだねぇ~?
じゃあもう一回頭打ったら
治るのかな?』


夏目は右手に拳をつくり
すでに殺れる体勢になっていた。


「待て待て!
頭打ったのは夏目のせいだろ!?
だから殴るのはナシで」


俺は必死に口角をあげ笑ってみせた。


だってここで逆ギレすると
夏目に殺られるのは確定だから。





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