ただ俺たちは恋をした。
とりあえず泣き止んでもらわないことには、なんで泣いているのか聞けやしない。


「夏目、落ち着いて俺に話してみろよ。
なんも言えねーかもだけど、話せばすっきりうるだろうし、な?」


夏目の頭をポンと叩くと、静かになった。


泣き止んだのか?


顔を覗き込むように見ると、ガバッと頭を上げた。


『やっひゃんひゃあぁ・・・ぐずっ
やっひゃんひゃあぁ・・・』


夏目は鼻をすすりながら必死に話そうとする。


なんとも可哀想なほど醜い顔だ。


俺はそんなことを考えながら、あの渡り廊下を横目で見た。


あのヒト・・・北島先生が違う先生と並んで歩いていた。


俺は睨みつけるように北島先生を見た。


隣にいるのは30代のこの高校では若い方の滋賀先生。


なんとなくお似合い・・・


『ひぇっほんふるって・・・』


「え?」











『ぐすっ・・・結婚する・・・』

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