メーティスの瞳
三　寄生虫学者の秘密
それから、透はまた忙しい当たり前の日常に戻っていた。

「全く……これを全部一人で片付けろって無茶苦茶だよな……」

玲奈は用事で出かけ、美咲は仕事だ。透は頼まれた仕事を黙々とこなす。

医学書の整理をしていた時、ふと玲奈の自室が目に入った。玲奈の自室には入ったことがない。

「あいつの部屋、どんなのなんだろう」

興味本位で透は玲奈の部屋のドアノブに手をかける。ドアを開けると、女性らしさの全くないシンプルな部屋があった。

「……美咲さんとは大違いだな」

美咲の部屋は、女性らしい色の家具が並べられ、可愛らしいテディベアなども置かれていた。しかし、玲奈の部屋は必要最低限のものしか置かれていない。

「ん？何だこれ？」

机の上に一冊のノートが置かれていた。それを透はめくってみる。

「……どういうことなんだろう？」

そのノートには、Sという人物が殺されたこと、アルファベットの書かれたカードが置かれていたこと、次々に似たような事件が起きていることなどがまとめられていた。
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