僕の匂いが好きらしい
「おはよう!ねぇ、今日も良い?」
「はぁ…どうせ僕が断っても、君はするのだろ う?」
「分かってんじゃん」
そう言って笑う彼女は
今日も僕の匂いを嗅いでいる。
どうやら彼女は匂いフェチらしい。
僕の匂いのどこがいいのか…
自分の匂いというものは、
自分では分からないものだ。
彼女に目をつけられてからというもの、
僕はシャンプーや、洗濯用洗剤、柔軟剤…といったように思いつく限りを紙に書き出し、
彼女に差し出した。
「これで、僕を嗅ぐ必要はないよね?」
彼女は驚いた顔をしていたが、
「ありがとう!」
と言って紙をポケットに入れた。
その日の夜、
彼女のSNSにアップされた写真は、
僕が教えた物たちが全て載っていた。
もう買ったのか…
どんだけ、匂いフェチなんだよ…
思わずため息が出てしまう。