不幸なお姉さんのお話
「それで、どうしたの?…!怪我してるじゃない!!待ってて」
そのお姉さんは鞄を探り出したと思ったら、俺の膝に絆創膏を貼ってくれた。
「…あり…がとうござ…います…」
お姉さんは笑う。
「いいえ、どういたしまして」
その言葉と笑顔に先程まで焦っていた自分は安心した。
このお姉さんにお願いしてみてもいいかな。
「ふふっ転けて泣いてたのね。もう大丈夫?痛くない?帰れる?」
「あ…の……か…鍵落として…無くなって…その……」
そう言うと、お姉さんはびっくりした表情になった。
やはり迷惑だっただろうか。
「…やっぱり…なんでもな……
「それなら早く探さなくちゃ!!!」
え…?どうしてなんだろう…
「ここら辺よね?んー…どういう鍵かな?教えてくれない?」
なんでこんなにも優しい人なのだろうか。
ただの迷惑なのに。
怪我を治療してもらったのに、こんなことまで手伝ってくれる人なんだ。
「……ッ」グスッ
「え!?ど、どうしたの!?まだ痛い?それともやっぱり私じゃ頼りなかったかな…?…えーっと……」
こんなにも優しい人は初めてだ。
「ありがとうございます…」
出会えたことがまるで運命のようだ。