転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
外に出ると、ローデンヴァルト先生はすでに待機していた。何やら大きなバスケットを持っているが、中身は何なのか。

そんなことを気にしていたら、視線で「遅い!」と抗議している。私達はパタパタと小走りで、集合場所に向かった。

「しっかり外套はまとっているようだな」

“魔法薬学科”の外套には、虫や害獣、魔物避けの呪文が刻まれているらしい。採取をしていたら無防備になるので、特別な魔法が施されているのだとか。ちなみにこの外套と同じものを買おうとしたら、金貨二十枚ほどかかるようだ。私とニコラは、思わず悲鳴を上げてしまった。フロレンツィアだけは、ピンときていないようだったが。

「喋っていないで、行くぞ」

鼠妖精達の見送りを受け、学園内にある薬草の森へ出発した。とは言っても、“魔法薬学科”の敷地を一歩外に出たら、森が広がっている。

春の森は、まだ肌寒い。手袋も必要だったかもしれない。手先が冷たくなってきた。
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