転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
主人公を輝かせ、引き立たせるためだけに存在する、哀れなキャラクターとも言える。前世の私はゲームシナリオの誘導されるままに、悪役令嬢フロレンツィアを嫌っていた。

だが、いざ貴族の娘として生まれると、悪役はニコラを選んだ王太子ヴォルフガングなのでは? と思うようになった。

だって、平民出身のニコラに、王妃なんて務まるはずがない。王妃教育は幼少時より、長年かけてようやく身につくものだから。

物語はめでたしめでたしで終わっているが、王太子ヴォルフガングと結婚したニコラはさぞかし苦労しただろう。そして、王となった王太子ヴォルフガングも、平民の女性を妻に迎えたことを後悔しているに違いない。

と、“魔法学校のエーデルシュタイン”についてたびたび思いを馳せていたが、私はまだゲームの世界に生まれ変わったことを受け入れられずにいた。

どこか、思い入れのある物語が私の中に印象深く在り続けるような気でいたのだ。

そのため、近い将来に起こる悪役令嬢フロレンツィアとニコラの決闘に巻き込まれて死ぬなんて、夢物語だと思っていた。
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