転生したら、モブでした（涙）～死亡フラグを回避するため、薬師になります～

第四章 子爵令嬢グレーテは、婚活する

「――激しく震えよ、震動（クエイク）！」

私が発動した土魔法に反応して、畑の土がかき混ぜられる。威力が弱いので、いい感じに畑が耕されていた。

この前焼いた雑草を肥料とし、これから薬草の種を植える。どんどん土は盛り返され、きれいに混ざっていった。

「わー！　土魔法って、こういう使い方ができるのですね！」

飛び上がって驚くのは、“魔法騎士科”から“魔法薬学科”に移動した平民出身のニコラ。リアクションのひとつひとつがいちいち可愛らしい。さすが、物語の主人公を張れるだけある。

私やフロレンツィアのことを様付けで呼んでいたが、よそよそしいから呼び捨てでいいと言った。けれど、彼女の性分では、さん付けするのが限界だったようだ。それでも、以前よりは親しくなったような気がしてならない。

「まあ、わたくしも土魔法の適性があったら、これくらいできると思いますけれど」

腰に手を当て、張り合うような発言をするのは、公爵令嬢のフロレンツィア。彼女も、“魔法騎士科”から“魔法薬学科”に移動した変わったお嬢様である。

「お前達、喋っていないで、畑に入って畝(うね)を作れ」