転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
ローデンヴァルト先生の言葉に、涙が溢れそうになってしまった。私はずっと、どこかで他人に努力を認めてほしかったのかもしれない。

できて当たり前という周囲の反応に、私も「褒められるためにしているのではないから、そんなもんだろう」と言い聞かせて我慢をしていたのだろう。

「よくやった。おかげで、畝作りをしなくてよくなった」

先生に褒められたのなんて、いつぶりか。こうして努力を認められると、嬉しいのだなとひしひし感じてしまった。

顔を俯かせていたら、「どうした?」と聞かれる。今日くらいは、素直になってもいいだろう。

「ローデンヴァルト先生の生徒で、よかったと思っただけ」

顔を上げると、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしているローデンヴァルト先生と目が合った。何を驚いているというのか。私だって、素直に気持ちを伝える日があってもいいだろう。というか、これくらい、軽く受け流してほしい。言ったこちらが、恥ずかしくなる。

気恥ずかしい雰囲気のまま、時間だけが過ぎていった。
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