転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
が、楽しい毎日ばかりではない。貴族である私にも、責任がのしかかってくる。

ある日の晩、父に呼び出され、ある社交場に行くよう命じられた。

「父上、これは何?」

「知り合いの伝手を使って、ある懇談パーティーの招待状を得た」

「ええ……」

「ええ、ではない!」

“魔法騎士科”の選択を辞め、“魔法薬学科”を選んだので、父は私の結婚に対して焦りを感じているようだ。

「なんの社交をする場なの?」

「国家魔法薬師が集まる、年に一度の催しだ」

なんでも、一年の研究結果を発表し、そのあと支援者を集うパーティーを行うらしい。国の支援はあれど、研究費はいくらあっても足りないのだとか。そのため後援者(パトロン)を集うための催しをしていると。

「そこでお前は、未来の夫を品定めしてくるのだ!」

「品定めって……」

わざわざ付添人(シャペロン)も雇ってくれたようだ。

「って、父上は同行してくれないの?」

「忙しいからな」

どうせ、愛人との約束で忙しくしているのだろう。実の娘の結婚相手探しよりも、愛人との約束を優先するなんて、なんて親だ。
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